第2章 オスの鶏がら持ち帰り

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こういった店に祉摩はとても詳しく、顔が効く。 大学時代、久助の家で初めて顔を合わせ、 激しく誘われるまま三人で食事に出た時から、 外での食事はいつも二つ下の祉摩が店選びも予約もしてくれ、 今でもそれに甘えたまま、もう当然にしてしまっている。  店のセレクトは抜群で、どこで知り合うのか、 オーナーが知り合いという場合も多く、 特別なサービスが提供されることが常。 こういう機会を楽しみにしている部分も ないとは言えなかったが、 如何せん乗り切らせない問題は、 祉摩だった。 「祉摩てめぇ、 足に使った俺には土産なしだったくせに十士にはあんのか。 これ見よがしにブランドの紙袋下げて来てると思ったら、 そういうことかよ」 「なによ、足って言っても、 なんだかんだ理由つけて空港までは来てくれなかったじゃん!  それにさぁ、 あんただって特別あたしにお土産くれたことないでしょ。 家族用にはちゃんとチョコ買って来てやったじゃない。 みみっちい男!」
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