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席に着いた途端、
向かい合わせで口喧嘩を始めてしまった二人に、
いつものことだと構わずメニューを開く。
まさに、いつものこの食事会が始まる光景。
こうやって、付かず離れず仲良いのがこの二人なのだ。
美味しそうな海鮮のカルパッチョに目星を付けて、
やっと久助の隣に座るリリを思い出した。
居るか居ないかわからないほど存在感のないリリは、
ただぼうっとテーブルを見つめている。
もうひとつあるメニュー表は通路側に掛ける久助の側にあり、
久助はと言えばまだぎゃあぎゃあ言い合いを続け、
そんなことには気がまわらないようだった。
先に食べたい物を決めてもらおうとメニューを差し出すが、
リリはまた少し目を動かし表紙を見ただけで小さく首を振り、
受け取ろうともしない。
それならお先にと、再度メニューを開いて見ていると、
やっとお互いの不満にひと段落ついたのか、
それとも空腹が勝ったのか、
騒いでいた二人もメニューに手を伸ばす。
今度はメニューの取り合いを始めそうな予感に、
手中の冊子を祉摩へ譲ると、
リリとは真逆に満面の笑みで受取り、
早速と見始めた。
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