第2章 オスの鶏がら持ち帰り

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美人で快活、お茶目で奔放な祉摩は、 女性として十分魅力的だとは思うのだが、 どれだけ誘われ想いを告げられても、 そういった対象に変わることはなかった。 私生活に、 このパワフルさが入ってくることを想像できないのだ。 自分はもう枯れ始めているのかもなと、 座っているだけで発光しているような祉摩に、 やはり今夜も自嘲気味な溜息が出てしまう。 テキパキと皆の希望をまとめてくれる祉摩が メニューに取り掛かってからは、 あっという間に注文作業も完了した。 ポリフェノールを取りたいからと、 祉摩がセレクトしたフルボディの赤ワインで乾杯をし、 やっと和やかな食事が始まる。 「ねぇ、リリちゃんはさ、今どこに住んでるの?  ってか、全然食ってねーな。 これ嫌い? じゃあこっち食べる? いらない?  じゃあ、これは?」 久助は一生懸命話しかけるのだが、 リリはほとんどの場合、 微かに首を振るか俯くかで、 祉摩と久助が張り切って取り分けてくれた食事にも ほぼ手をつけていなかった。
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