第2章 オスの鶏がら持ち帰り

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どうも陰気な子だなと、 久助が言う魅力は感じられずにいたが、 何かを見ているようで見ていない、 どこか独特の目の動かし方には、 ほんの少し興味を感じた。 「ちょっと、すけべえ。嫌がってんじゃない。 リリちゃん、無理に誘ってごめんね。 十士さん、 リリちゃんって私と二人でもこんな感じだから、 変な風に思わないでね」 祉摩がまだ幼稚園の頃に命名したという、 すけべえという実兄へのあだ名はいつ聞いても笑いを誘う。 久助の少々抜けたところや、女性に関心が高い点、 兄らしく世話焼きで、 何かあると、俺が助けてやると張り切る性格を、 かなり上手く凝縮したものだと評価している。 彼女は、ユーモアのセンスも抜群なのだ。 こういった祉摩の良点だって常々感じているし、 褒める点はいくらでも見つけられるのに、 パートナーとして受け入れる点だけが見つけられずに ずるずる困っていた。
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