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どうも陰気な子だなと、
久助が言う魅力は感じられずにいたが、
何かを見ているようで見ていない、
どこか独特の目の動かし方には、
ほんの少し興味を感じた。
「ちょっと、すけべえ。嫌がってんじゃない。
リリちゃん、無理に誘ってごめんね。
十士さん、
リリちゃんって私と二人でもこんな感じだから、
変な風に思わないでね」
祉摩がまだ幼稚園の頃に命名したという、
すけべえという実兄へのあだ名はいつ聞いても笑いを誘う。
久助の少々抜けたところや、女性に関心が高い点、
兄らしく世話焼きで、
何かあると、俺が助けてやると張り切る性格を、
かなり上手く凝縮したものだと評価している。
彼女は、ユーモアのセンスも抜群なのだ。
こういった祉摩の良点だって常々感じているし、
褒める点はいくらでも見つけられるのに、
パートナーとして受け入れる点だけが見つけられずに
ずるずる困っていた。
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