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祉摩は、リリの顔を伺うように、
珍しく歯切れの悪い説明をする。
「うん、まぁ…。隣人よ。アパートの隣に住んでたの。
楽しくなさそうだったから、
一緒に連れて帰ってきちゃっただけ」
リリは相変わらずで、
自分の話になっても聞いているのかいないのか、
一向に口へ運ばないオリーブをフォークで弄んでいた。
「て、てめぇ、それじゃ人さらいじゃねぇか。
拉致だ拉致。
ちょっと署で詳しく話し聞かせてもらうことになるぞ」
妹を犯罪者扱いした兄はまた足の甲深く天誅を下され、
二回目の悲鳴を上げた。
祉摩は、この話はここまでとばかりに土産の話に戻し、
モダンな赤のネクタイをプレゼントしてくれる。
この土産攻撃も毎回のことなので、
店に来る前に百貨店の雑貨コーナーで
適当に選んでもらったアロマセットを返すと、
海外生活も長いせいか、
少々オーバーリアクションの祉摩はそれこそ泣いて喜んだ。
「十士さん、何でいつも、
今私が欲しいって思ってる物がわかるの?
この疲れた体をこういう香りで癒したいって考えながら
飛行機に乗ってきたの。
大好き。結婚して。私、本気なの」
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