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軽く酒が入ると必ず始まるこれさえなければと苦笑いで、
今回も百貨店の方の素敵なセレクトだと注釈するが、
祉摩の結婚してくれは一度始まるともう止まらない。
貴方以外は考えられない、
と今夜もそれは延々続く。
腹も満たされたので近くのバーにでも移ろうかと、
冬のイルミネーションの中を歩く間も、
もちろん同じ懇願は繰り返された。
「祉摩、
お前も後最低五十キロ位太れば相手してもらえるんじゃねーか。
俺はこいつの歴代彼女二人を見てきたが、
そりゃあもう見事な…」
ぶ、と言いかけた口を
冷たい視線に慌てて引っ込め、
わざとらしくリリに矛先を変えた久助は、
あえなく無視され祉摩に戻り、
また無視されていた。
テーブル席も開いていたが、
夜景を楽しめるよう窓側に向いたカウンターへ横並びに掛ける。
左隣には当然の如く祉摩、
右には、静かな店内では極力妹と距離を置きたい
という兄の賢明な判断もあり、
リリが座った。
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