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まるで、体温がないのかと思うほど、
グラスに添うリリの手は白い。
近頃はホテルのバーが穴場なのだと、
祉摩に誘導されるまま乗り込んだエレベーターの中で、
他の乗り込み客を避け、
偶然前に立つ形になったリリの、
少し横顔に掛かる長めの前髪とは対照的に
短くぎりぎりまで刈った襟足とハイネックの隙間から覗いた
細すぎるうなじを思い出し、
何故かゾクリとした。
雪女が本当に居たらリリみたいな感じかもなと、
真っ直ぐな黒髪がカウンターのブルーライトに染まり、
紫がかって見えるのにまた目を奪われる。
「ねぇ、十士さんって、
ホントに太った子が好きなの?
祉摩、初耳! ショック!
普通は、細い方が良いもんでしょ?
あ、もしかして巨乳好き?
私、おっぱいは結構ある方だよ!」
夜景に夢中だと思ったのか、
祉摩は目の前でひらひらと手を振って注意を自分に向けさせると、
情報の真偽を確かめにきた。
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