第2章 オスの鶏がら持ち帰り

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「久助が話を過剰にしているだけだよ。 ただ、女性の柔らかさは何物にも代えがたいだろう」 またここで、 久助は性懲りもなく口を挟んでくる。 「何言ってんだよ。 お前が怒るだろうからずっと黙ってたけど、 大学の時もお前のボランティアだとか、 本当は貢がせてるとか言われてたの知らないだろ。 デブで無口なブスがタイプのイケメンなんて、 性癖がおかしいド変態か金目当てって相場が決まってんだよ」 リリを挟み、 昼間のことも忘れ身を乗り出してまで失礼な事を言う久助は、 またも疳の虫に触った。 「今日のお前は、彼女達に名誉棄損で訴えられても仕方ない 暴言の数々という自覚はあるか。 もうかなり前に別れているとは言え、 真剣に交際した人をそういう風に言われるのは許せない」 つい、感情が口調になってしまう。 険悪なムードを察知した祉摩が、 だから十士さんって好きー、 と明るく場を盛り上げ直し、 とりなすようにパリでの話を始め、 久助も気まずそうながら相槌で反省する。
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