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祉摩に気遣わせてしまった気恥ずかしさも手伝い、
酒が増えていた。
気付けば、
同じペースで杯を重ねていた祉摩はべろべろで、
もう呂律が回っていない。
久助の方も、
相手をしてくれないリリとの間を持たすためか、
かなりペースを乱して飲んだようで、
相当出来上がっていた。
リリもそれなりに飲んでいるだろうに、
こちらは顔を赤らめることもなく静かにグラスを傾ける。
「強いんだな。酒」
何となしにそう話しかけると、
初めてちゃんとこっちを見た。
手で容易に掴めてしまいそうな顎先までの小作りさで、
目つきは良くないが
どこか目じりの甘いその顔にまたも魅入ってしまう。
久助の言う、リリに感じる儚さというのは、
細い体つきだけじゃなく、
この怪しげな雰囲気そのものなのだとやっと気付いた。
「なに、飲んでる」
そのハスキーな落ち着いた声は
リリが喋ったのだと理解できるまで、
三十秒くらいかかっただろうか。
「あ、あぁ、バーボンだよ。君のは?」
マティーニと答え、
リリはそれを飲み干す。
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