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いかがわしい場所のベッドに終える変死体の消える相手は
大体水商売の人間で、
無認可の店に在籍するものや、
個人で集客する未成年といった構図がほぼ出来上がっている。
まれに逃走者は平凡な主婦なんて事例もあるが、
そんな尻尾を掴んだところで取り立ててニュースにもならず、
遺族もホテル側も単純な病死での収束を望む。
この連鎖自体が、
またひとつの悲しい事件と言えるなと、
新しい溜息が漏れた。
今回、久助がこんな事件資料を握らされている要因はこれかと、
『頭髪と遺体のDNAは一致せず』という一文に、
もう一度添付写真を見直していると、
今だ春に期待を寄せたままの久助は
コーヒーを置いてくれた手でまた拝みだす。
「だからよぉ、祉摩(しま)もお前に会いたがってるし、
今夜一杯付き合ってくれよ。
お前を連れて来るってのが交換条件で、
あいつはリリちゃんを連れて来てくれるって言ってんだ。
リリって名前も良いだろ。
あの子なんていうか、すげぇ儚げでさ、
もうこんな細くて美人だし可愛いし」
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