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「細さで言ったら、祉摩ちゃんだって職業柄抜群だろう。
お前と血がつながっているとは
俄かに信じられない程洗練された顔立ちだしな。
今度の子は、祉摩ちゃんと同業じゃないのか?」
久助の妹は、パリコレにも出演経験のある有名モデルなのだ。
先日二か月ぶりに帰国したということで、
久助を介しメールでの誘いも受けていたのだが、
つい読み流してしまっていた。
いつまでも返らぬ答えに焦れた祉摩にせっつかれ、
とうとうこうして兄が公私混同の協力依頼に差し向けられた。
その兄にも思惑があり、
祉摩がパリで知り合ってどうあってか共に帰国してきた女性に、
一目惚れをした、と言う。
これまでも、幾度久助がこうして悶えて見せたか、
ひとつずつ思い出すのは不可能に近いと、
机上に転がる万年筆を指に遊びながら、
呆れを通り越しもはや尊敬だと一人頷く。
対象は新卒の婦警、たまたま寄ったコンビニの店員や、
ジムの女性トレーナーまで多岐に渡り、
この節操のなさは
いつか身を崩させるのではないかと心配になるほどだった。
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