159人が本棚に入れています
本棚に追加
誰とでもすぐ打ち解けてしまう社交性の高さは
素晴らしいと思うのだが、
久助の一貫性も恒久性も持たない、
むしろ愛情と呼べるかも疑わしいものには、
至極下らない以外の感想が出ない。
「祉摩なんて、身長百八十あんだぜ。ヤバいだろ。
俺より背の高い女なんてありえねぇよ。
あいつには、お前くらいデカいのが丁度いい。
頭半分高いのが理想~って、
祉摩にいつも言われてんじゃんか。
リリちゃんはさ、華奢って表現そのものなんだよ。
まぁ背はそこそこだけど肩とかもこんな薄くてな」
またも手遊びで妄想の中に入ってしまった久助に、
とりあえず先に仕事の話を済まそうと、
事件の詳細説明を求めて声を掛けるが、
うららかな日差しの中をせわしく飛び回る
蛾のように浮き足立った男は、
もうリリ以外に集中できないと愚図る。
「いい加減にしてくれ。
僕はここに恋愛の相談室を開設しているつもりはない。
一度会ったって言っても、
祉摩ちゃんを迎えに行った所で少々挨拶した程度なんだろう。
先入観と思い込みを持ち過ぎた状態で付き合いを始めると、
またその乖離に悩むことになるぞ」
最初のコメントを投稿しよう!