第1章 恋する腐れ縁

7/8
前へ
/139ページ
次へ
久助は大袈裟に首を振り、 指でこちらを指しながら、 そっちこそいい加減にしろと言う。 「十士(とし)はさぁ、堅物すぎんだよなぁ。 中学から全っ然、変わってねぇ。 何でそんなお前の方がいつもモテんのかマジ不思議だよ。 今時きっちりオールバックの心理学者なんて 流行んねぇはずなのにな。 お前がデブ専じゃなかったら、 リリちゃんにも会わせたくねぇよ」 聞き捨てならない言葉に、 淹れてもらったコーヒーカップを荒く置き、 どう見ても不自然なばさばさの髪を頭に乗せて 青く横たわる若い男の写真を突き返す。 「帰ってくれ」
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加