第1章 恋する腐れ縁

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久助に、二度と過去の彼女達を 侮辱する発言はしないと誓うまで謝罪させ、 ようやく冷めたコーヒーを一口飲む。 この手の会話は、 自身の恋愛に協力させようとする久助が よく持ち出してくる苛立ちだった。 「いや、性格は良かったけど、 うーん、 気遣いが出来るっていうか…でも、 あれはお前の二倍どころの太さじゃ…おっと、 すまん…お前が細長いんだな。 この通り、心から反省してる。もう言わない…」 「志摩ちゃんに比べたら見劣りする点もあったかもしれないが、 少なくとも僕にとっては今でも愛しむべき思い出の人だ。 人は姿形だけではないとお前もそろそろ学ぶべきだな。 華奢さなど、 ロリータコンプレックスに片足入れ始めたんじゃないのか」 謝罪が加わったその嘆願に そこそこのワイン三本という約束をさせ、 渋々ながら腰を上げることにはなったが、 まったく気乗りはしなかった。
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