第六十五話闇将と六合

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一方、山賊の拠点では… 「取り敢えず…先程目撃された武士を刀に自信がある精鋭部隊に討伐命令を下しました。 いくら腕に自信があっても、数に勝る者は無し。 伝五郎親分、御安心下さい。必ずや不安をもたらした武士の首を貴方にお見せ出来ましょう」 山賊に見えない女物の着流しを着た美しい青年が、上座で震える男に声を掛けた。 「そっそうか…それなら安心だな」 無精髭を生やした男は、青年に言われ安堵する。 「はい。これだけ山賊の規模を大きくした貴方は水戸徳川さえ滅ぼしてしまえば、常陸の国を手中に治めるのも夢では御座いませんよ」 笑って青年は男をおだてる。 「はっはっ!国を手に入れたら…俺は国主になれるな!」 満足そうに笑って男は頷いた。 ……馬鹿な男。口車に乗せられてさ。まぁ、俺は斬られたらなんでも良いけど… 壁に背を預け、血が錆び付いた刀を持つ男は話を聞きながら目を潜める。 暫くして… 『神子田、愛奈を必ず捕らえ俺の元へ連れてこい。 家康を嵌めたお前なら簡単だろう?』 『御安心を…。この神子田正治。六合様から受けた御恩を必ず御返しします。 必ずや連れて来ましょう』 青年は外に出ると、直接脳に語り掛ける者と話をしていた。 『期待しているぞ?』 『御期待に御応え致します』 そして会話は途切れ、青年は怪しまれないように廃屋へ戻って行った。
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