第六十三話馬鹿だから馬鹿なんだ

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「竹中様がお戻りになられていないので、俺達で探しに行くぞ。馬を出せ」 早口で捲し立てるように石田は日向に言うと、幕舎から出ていく。 「やれやれ…僕は別に構わないけど…陣はどうする?」 飼い慣らしている愛馬の手綱を引き、日向は歩きながら石田に尋ねる。 「左近に任せたから問題ない」 背を向けたまま、石田は日向に答えた。 「…そうか。それなら心配ないな…」 …左近に上手く背中を押されたか?僕としては良い事だが… …何か左近に変な事を吹き込まれたか? …こう見えて主は純粋…簡単に信じて誤解する… …陣に戻れば左近に釘を差すか… 主が馬に乗った後、日向も後ろに飛び乗る。 「はっ!」 馬に鞭を打ち、石田は馬を駆って陣から出て行った。 ドカカッ 「あ…」 ドカカッ 「ん?」 途中、日向は陣へ向かって馬を駆る青年と擦れ違った。 「あれは…石田様に日向…何処に行くんだ?」 馬を止めると、走り去る二人を見て青年は首を傾けた。 銀髪で短髪、緑色の着物を着ており左半分は着物の袖を通しておらず、茶色の甲冑を装備しており、右肩に肩当てと、籠手を装着している。 黒い高下駄を履いており、両足にも茶色の具足を装着していて背中には緑色の鞘の太刀を背負って居た。 霧時雨実基。 島左近の太刀の刀剣。 石田や島と共に竹中に師事しており、日々軍略を学び中。 別動隊として引き連れ、策を実行したり、偵察したり、護衛として付き従ったりと有能刀剣。 石田を面白そうにおちょくる島に苦労させられている。
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