第六十三話馬鹿だから馬鹿なんだ

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「…確かに俺達は焼けた。長政様と共にな…」 竹中の問いに一文字は無表情で答えた。 「刀剣とか、究極になれた理由は分からない。 …けど…俺達は愛奈様の中に眠っていた長政様の声が聞こえて…御守りしたいと思ったら…実体化して…こんな力を手に入れていた」 困惑しながら信義は竹中に教える。 「某の声が?」 二人の言葉に浅井はびっくりした。 「なーるほどねぇ。やっぱ俺の頭は天才…究極と理由、条件さえ分かれば…対処の方法も分かる」 納得して竹中はニッコリ笑みを浮かべ… 「条件?究極と理由…?」 訳が分からない鶴丸は腕を組んだ。 「半兵衛…貴様何が言いたい?」 浅井は怪訝そうな表情で竹中に問い掛ける。 「……究極の条件…それは…刀としての媒体を無くし、いかに主に思い入れがあり…尚且つ… …闇墜ちして尚、自我を保てる霊力があるか…主の為に守りたいと願う想いの強さの果てに…手に入れる力が究極だと思うんだ」 得意気に竹中は笑って皆に伝え… 「「…」」 一文字と信義は目を丸くする。 「なんと…?」 浅井は愕然とした。 「そんじゃ…俺達は当てはまるって事だろ? …それで?あんたは俺達をどうする気だ?」 鶴丸は竹中を見据え問い掛ける。 「何せ…平和ボケした幕末の世。それに馬鹿なお人好し愛奈と、ハズレ籤を引いたこの時代の風潮や民衆の常識を考えたら…俺の完璧な水攻めの策なんて実行できなくなる」 肩を落とし、竹中は笑みを浮かべたまま両手を広げ四人に背を向けた。 「それに…山賊の数は遠くから感じる視線や殺気からして…二千から三千は居るだろ。 安定しない幕末の世…暮らしに不自由を強いられている武士崩れなんかは…たくさん居る。 かと言って…手負いの俺達が…真っ向勝負した所で刀剣は折られ…愛奈は失っちまう。 清正達が猛者でも、物量で押しきられれば全滅も必死ってとこか?」 真っ直ぐ鶴丸は竹中を見据え問い掛ける。
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