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「…確かに俺達は焼けた。長政様と共にな…」
竹中の問いに一文字は無表情で答えた。
「刀剣とか、究極になれた理由は分からない。
…けど…俺達は愛奈様の中に眠っていた長政様の声が聞こえて…御守りしたいと思ったら…実体化して…こんな力を手に入れていた」
困惑しながら信義は竹中に教える。
「某の声が?」
二人の言葉に浅井はびっくりした。
「なーるほどねぇ。やっぱ俺の頭は天才…究極と理由、条件さえ分かれば…対処の方法も分かる」
納得して竹中はニッコリ笑みを浮かべ…
「条件?究極と理由…?」
訳が分からない鶴丸は腕を組んだ。
「半兵衛…貴様何が言いたい?」
浅井は怪訝そうな表情で竹中に問い掛ける。
「……究極の条件…それは…刀としての媒体を無くし、いかに主に思い入れがあり…尚且つ…
…闇墜ちして尚、自我を保てる霊力があるか…主の為に守りたいと願う想いの強さの果てに…手に入れる力が究極だと思うんだ」
得意気に竹中は笑って皆に伝え…
「「…」」
一文字と信義は目を丸くする。
「なんと…?」
浅井は愕然とした。
「そんじゃ…俺達は当てはまるって事だろ?
…それで?あんたは俺達をどうする気だ?」
鶴丸は竹中を見据え問い掛ける。
「何せ…平和ボケした幕末の世。それに馬鹿なお人好し愛奈と、ハズレ籤を引いたこの時代の風潮や民衆の常識を考えたら…俺の完璧な水攻めの策なんて実行できなくなる」
肩を落とし、竹中は笑みを浮かべたまま両手を広げ四人に背を向けた。
「それに…山賊の数は遠くから感じる視線や殺気からして…二千から三千は居るだろ。
安定しない幕末の世…暮らしに不自由を強いられている武士崩れなんかは…たくさん居る。
かと言って…手負いの俺達が…真っ向勝負した所で刀剣は折られ…愛奈は失っちまう。
清正達が猛者でも、物量で押しきられれば全滅も必死ってとこか?」
真っ直ぐ鶴丸は竹中を見据え問い掛ける。
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