第六十三話馬鹿だから馬鹿なんだ

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「圧倒的な物量で押し切るのが…豊臣の得意な戦なんだけどね。 山賊が攻めてくるとなれば…俺の策でも勝利には導けない。 究極が二振りじゃ…物量に引けを取るのは明白…」 振り返ると、竹中は苦笑する。 「半兵衛…貴様…何が言いたいんだ?」 厳しい表情で浅井は竹中に問い掛ける。 「俺が言いたい事はただ一つ…究極が…少なくとも後五振りと…山賊から奪い最新兵器を使いこなす若者達が入れば…状況を反転させる事が出来るって訳」 笑って竹中は浅井に答えた。 「…」 鶴丸は目を大きく見開いて黙り込む。 「…状況を反転させる…って若者って誰だよ?」 信義は竹中にびっくりして尋ねる。 「陣にもう一人、軍師の島さんが居てね…水攻めの代用策を考えてたんだ。 若者ってのは…秀吉の元に居た若者武将だよ。 清正君達六人組…歪んだ戦国時代で、俺が何でも使えるように叩き込んだからね。 それなりに自信あるし、結果をもたらすよ」 笑って竹中は頷く。 「…半兵衛…その策だと…鶴丸は…」 竹中の策を聞いて、浅井は気付いて蒼白になり… 「愛奈に嫌われちゃうかも知れない。でも賭けに出るしか愛奈を助け、俺達が生き残れる勝目は無いんだ。 悪いけど…鶴丸、君達五人には折れて貰うよ?」 真っ直ぐ竹中は鶴丸に言い放つ。 「!!」 鶴丸は目を見開き竹中を見据える。 バサバサバサッ 四人の周囲に生い茂る木から、夜行性の白梟が獲物を求め飛び立って行った。 同じ頃… 「カワウソや…カワウソがおる…」 明石はぬいぐるみのカワウソ三匹を見つけ目を輝かせる。 『カワウソ言うな!』 盛親は怒って毛並みを逆立てた。 『怒っても仕方無いよ』 呆れて親忠は盛親に言う。 『しかし…まだ掛かるんでしょうか?』 心配そうに信親は、状況が分からない洞窟を見詰める。 「さあな?さっき竹中と鶴丸さん、浅井達が出てきたが…さっぱりわからねえし…」 日本号は頭を掻く。 「成るようになるさ」 鴬丸は笑って言う。 「…お前適当だよな… 」 呆れた大兼平は鴬丸にツッコミを入れた。
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