第六十三話馬鹿だから馬鹿なんだ

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「ちょいと…清正…俺に視線向けるのいい加減辞めてくれないかね? 俺には男色の趣味は無いんだが…」 あまりにも視線を感じるため、慶次は近付くと加藤に文句を言う。 「ちっ違う…!その……慶次は直江と親友だろう? 直江に頼んで…三成の様子とか…聞いて貰えないかと思ってな」 青ざめ、手を振り否定すると加藤は慶次に頼む。 「…そりゃ…俺や兼続に頼むより…本人に直接聞けばどうだい? …女心も男心も…恋する気持ちは変わっちゃ居ないと思うからね。 あんたらは因縁があるのも知っている。けど…それを乗り越えるのも道だと思うからな」 苦笑して慶次は加藤に断ると助言をした。 「…」 慶次の言葉が加藤の心に響き、目を丸くさせながら黙り込む。 「それじゃ…俺は戻るよ。紅蓮を読んで来るから失礼させて貰うね」 クスッと笑うと慶次は去って行く。 …乗り越えるのも道…か。 加藤は慶次の言葉に決心した。 「好きだ!紅蓮!!」 田貫は真っ向から紅蓮に告白する。 「…悪いね。俺は可愛い女の子の物さ。あんたの気持ちに答えられないよ」 即答で紅蓮は田貫に断った。 「くっ…!でも…俺は諦めねぇ!また男を磨いてくるぜ!」 涙目で田貫は紅蓮に言うと、走り去って行った。 「…だから無理だって言ってんのに懲りないガキだね」 呆れた顔をして紅蓮は溜め息をつく。 「フラれ記録また更新かい?」 笑って慶次が紅蓮に聞く。 「馬鹿は馬鹿だからな。仕方無いよ…こればっかりはさ」 苦笑いして紅蓮は肩を落とす。 「行こうか。山賊の動きも気になる…」 真っ直ぐ見据え慶次は紅蓮に言う。 「分かったよ」 真剣な表情で紅蓮は頷いた。 そして二人は、皆から闇に紛れて去って行くのだった。
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