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「ん?人の気配…しかも血の匂いがするぞ」
不意に、近付いて来る気配に気付き膝丸は川の中で佇んだまま身構える。
「…ほう?」
岩徹も笑みを浮かべると、川の中で身構える。
『…敵か?』
目を細め頼朝は毛並みを逆立て…
『…』
無言で弁慶は小さな体で身構える。
ガサガサガサッ
「む?」
茂みから出てきたのは頼光様と高次だった。
『頼光様と…そちらは?』
びっくりして頼朝は問い掛ける。
「先程いた幼子だ。姿を自由に変える事が出来る様でな」
苦笑して頼光は教えた。
緊張して高次は頼光の隣で固まっている。
「その姿は…」
高次の今の姿を見て、膝丸は目を丸くする。
「膝丸…お久しぶりです」
緊張しながら高次は膝丸に挨拶した。
「久しぶり…だな」
複雑な表情で膝丸も挨拶を返す。
『お知り合いで?』
びっくりした弁慶は膝丸に聞く。
「知り合いも何も…コイツは…源氏の先祖だ」
呆れた顔をして膝丸は弁慶に答え…
『先祖だと… 』
『なんと…』
びっくりして弁慶と頼朝は固まる。
「先祖…先祖か…。ふむ。源氏の中でも俺は新しき方の薙刀。古き先祖とは驚いたぞ」
岩徹は腕を組み頷く。
「私にはいくつも前世があるんです。
平安、戦国、幕末、平成…と。
ここまで明実を…愛奈を守って頂きありがとうございます」
頭を下げ高次は礼を言う。
「礼などいらん。愛奈は俺達の主だ…」
膝丸は照れ臭そうに背を向け…
「礼を言うとは…愛奈の兄は丁寧な小さき者だな!!
ガハハッ!守るのが俺達の役目だ!」
笑って岩徹は胸を張って言う。
「…」
嬉しそうに高次は微笑む。
「…っ」
気配に気付き、頼光は辺りを見回す。
「お話しするのが遅れてしまい申し訳ありませんっ!
…先程、私達は山賊に襲われたのですが…三人程取り逃がしてしまったのですっ!」
四人に謝りながら、高次は状況を説明した。
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