第六十四話がはははっ!!…狩りがいがあると言うものよ!!

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「話は読めた。これらの殺気は…恐らく逃げた山賊の仲間の者だな…」 スウッ 瞬時に鞘から太刀を引き抜き、膝丸は笑みを浮かべ構える。 「頼朝!弁慶!隠れていろ…」 岩徹は二匹に言うと、薙刀を出現させ構える。 『命令するな…』 頼朝は不愉快そうに言うと、藪の中に隠れ… 『…無理はするな。お前は万全ではない。手入れされていないのだぞ?』 弁慶は岩徹に心配そうに言う。 「手入れされていなくとも…この俺は弁慶、お前が刀狩りした薙刀…岩徹だぞ? 簡単に折れたりはせん!」 笑って岩徹は弁慶に答えた。 『分かった…』 頷くと、弁慶は岩影に隠れる。 「…」 「っ…」 頼光と高次も太刀を構え警戒しており… 「ガハハッ!狩りがいがあれば良いがなっ!」 薙刀を振り回し、岩徹はニヤリと笑みを浮かべた。 同じ頃… 笠間との境である急斜面な道を、四人の青年が旅装姿で歩いていた。 「血の匂い…」 先頭を歩いていた青年は、ふと立ち止まり辺りを見回す。 「…血?せっかく松様に頼んで幕末日本列島の旅が始まったばかりなのに…笠間は水戸徳川家だぜ? 古河藩との境だし…血生臭い所業は控えてぇよ…子孫の居る伊達藩だって遠いのにさ 」 呆れた顔をして、隣に居る青年は溜め息をついた。 「見てください…あそこに軍勢が…」 後ろに居た青年が指を差す。 「あれは瓢箪の旗印…豊臣軍?何故戦国ではなく幕末に…?」 一番後ろに居た青年は気付いて目を細めた。 「我々はあくまでも旅人。時代を荒らすなら豊臣とて斬り捨てる」 先頭の青年が淡々と呟いた。 「歴史修正主義者か、はたまた味方か…まずは情報を集めないとな」 笑って青年は腕を組む。
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