第六十五話闇将と六合

4/6
前へ
/857ページ
次へ
「…豊臣に恩はありますが…歪んだ時代では訳が違います。 …歴史修正主義者は誰がなるかは予想出来ません。 嘘付いていないとも限りませんから…」 冷静な表情で重門は首を横に振った。 「…ごもっとも…と言いたい所ですが、これは秀吉様の命令で動いているんですよ。 …伏せいていた話なんですが…血を引く愛奈と刀剣一行が居るんですがね…。 …この辺一帯の山賊と一悶着あった様で…直接は大丈夫なんですが…今は闘いを免れない状況でして…。 …そんで、貴方の父君…竹中半兵衛さんが秀吉様から命令を受け手助けに来た訳です」 冷や汗を流して、島は状況を説明した。 「…父上も…来ているのですね」 島から聞いて重門は困惑する。 「状況が状況でして、竹中さんが考えた水攻めは使えないかも知れません。 …山賊の数は二千から三千程…まさに浪人破落戸集団ですね」 的確に島は重門に伝えた。 「分かりました。愛奈の事も関わっているならば…私達も加勢致します。 すぐ皆さんにお伝えるので待っていて下さい」 島に頷くと、重門は右手首に付けてるブレスレット型カラクリ通信機の通話スイッチを押した。 「…何?愛奈を守る為に豊臣が動いていると?」 ある者は愛奈達が居る近くの茂みの中で… 「じゃあ政宗の刀剣も居るかな?愛奈に会える!ヒャッホー!鶴丸とか見てみたいかも!!」 あるいは、川に向かって歩いている途中で… 「それなら御守りしないと行けないですね!!気合い入れて加勢します!」 山賊の拠点近くに居て十字架のネックレスを握り締め、気合い入れながら返事する者。 様々な者が戦場に参戦した。 同じ頃… 笠間城広間は血の海が拡がっており… 返り血を浴びた六合は鏡に映った自分を見て笑みを浮かべる。 鏡に映った自分は、泣きそうな表情で今の自分に何かを訴えていた。 「…実体を手に入れる為…喰らってやったのに…こいつ…まだ鏡の中で意志を持つか…。 …まぁ、流石は堪えに堪えた徳川幕府の初代将軍と言うべきか…」 笑って六合は彼を挑発した。 その笠間城の屋根裏では… 「殿…」 涙を流しながら見守る忍の姿があり… 笠間城近くの酒場では… 「…半蔵殿が調べている。先程は蛍丸の活躍により吉宗様は大事無く逃げられたが…次は六合が動く筈…」 端正な顔立ちの青年は顎に手を当てる。
/857ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加