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第六十六話参ろうか?兄者殿?
…ここ…何処?
光に包まれた場所で、愛奈は辺りを見回した。
……そなたは……三日月の暴走を止めるため…無謀な事に霊力を使い果たす寸前になったのだ。
……むお!?
後ろから声を掛けられ、びっくりして愛奈は振り向く。
そこには、全身紅蓮の炎に包まれ、赤い着物を着た美しい花魁が立っていた。
……遊郭のキャッチセールスは丁重にお断りします!自分、人畜無害な未成年なので!
ペコッ
何を思ったのか、愛奈は頭を下げて花魁に謝罪した。
…バカ者!妾はキャッチセールスなんぞでもないし、そなたは女!
未成年じゃなくても入れぬわ!
顔を真っ赤にして花魁は愛奈にツッコミを入れた。
…違うの?
キョトンとして愛奈は首を傾ける。
…それに…この出で立ちだが、妾は女ではない。
……忘れているかも知れんが…妾はそなたの刀剣ぞ?
…戦場の跡で朽ち逝く運命だった妾を…そなたが拾い鍛え治してくれた。
…そなたの想いや気持ちは妾が受け取ろう。
名を呼んでおくれ?妾の名は…無月左京。
……三条が最期の一振りぞ。
笑って花魁は、愛奈を優しく抱き締めた。
…無月…左京……
嬉しそうに愛奈は目を瞑り名を呼んだ。
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