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「親を恥だと言うような教育をした覚えなんて無いんだけどな?
酷いよ…僕かなりショック…」
落ち込んで眼鏡は膝をつく。
「服の下の変な縄を取れば済む話では?
母上にも玉にも散々言われた挙げ句に縄を取らない…父上の方がおかしいですよ」
幻滅して青年は眼鏡を睨み付けた。
「…だって…変な格好なんて生前真面目第一主義だったからさ…。
あの頃は変わり者好きな信長様を理解する事は出来なかったけど…今なら理解出来る気がするんだ」
頬をピンク色にさせ、眼鏡は照れながら言う。
…うわぁ…何…このオッサン…私にもあんな変態な血が受け継がれているのかッ!
全力で否定したい!!私はまとも!!
ドン引きして、青年はふらついて青ざめる。
ガサガサッ
「ん?」
「?」
背後の繁みから、誰かが出て来て眼鏡と青年は目を丸くする。
シュッ
高く跳躍すると、完全に出てくる前に眼鏡と青年は木に飛び移った。
「あれ?今声がしたんですけど…気のせいですかね?」
出てきたのは、旅装姿が似つかわしくない子犬の様な青年だった。
「あれ?…元親君の所へお邪魔した時に見た事ある…確か島津の…」
下を見下ろしながら、眼鏡は青年を見て呟く。
「島津豊久…ですね。
…清正の話によれば…関ヶ原で叔父である義弘を逃がすため…徳川本陣に突っ込み壮絶な最期を遂げた猛者らしいですよ。
父上が長曽我部の救援に駆けつけた時も…幾度か刃を交えた事もありましたでしょう?」
小声で眼鏡に耳打ちし、豊久の事を話す。
「そう言えば…やけにキャンキャン吠える子犬が居たよね。
明智軍の鉄砲隊が一斉射撃したら退却したけど…あの戦でも若者ながら元親君が居る本陣前まで迫ったし…
嫌な汗掻いちゃうし、指揮を取っていた僕でさえ焦ったよ」
思い出して眼鏡も頷く。
「…気のせいか…とにかく早く加勢に行かないと…っ!チェストフルパワーで行くぞ!」
豊久は叫ぶと走り出す。
「加勢?何のだろう?もしかして愛奈と信長様が危ういのかな?」
「とにかく尾行して見ましょうっ!」
顔を見合わせると、眼鏡と青年は木から飛び降りて豊久の後を追い掛けるのだった。
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