第六十六話参ろうか?兄者殿?

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「何や?愛奈ちゃん達が居る洞窟…光ってません?」 気付いた明石が指を差す。 「お?マジで光ってんな…なんだありゃ?」 日本号もびっくりする。 「何かあったんじゃないのかい?」 異常に気付いて次郎は立ち上がる。 同じ頃… 少し離れた場所では… 「何だって!?頼光達に何かあったかも知れないだと!?」 石切丸から聞いて髭切は立ち上がった。 「…岩徹や膝丸だってズタボロ…全然万全じゃねえのに…っ!」 獅子王も慌て立ち上がる。 『気持ちは分かるが…一先ず冷静になってくれ。 青江の言った通り、竹中の指示を仰ぐしかない…』 慌て頼平は二人に言う。 「冷静になれだって?…弟が危ないのに…冷静になれる訳が無いだろう!? 僕は行くよ…何処に行ったか分からない軍師なんて待っていられない!!」 『待て!!髭切っ!!』 タッ 義平の制止も聞かずに、髭切は飛び出して行った。 「ふわふわそうな見た目に反して…髭切は膝丸の事になると熱くなるよな…」 森の中へ姿を消した髭切を見て、獅子王は冷や汗を掻いて頭を掻く。 『それだけ絆が強いのですよ』 頼政は苦笑して頷いた。 「絆…か」 それを聞いて獅子王は頼政を見詰め… 『?』 視線を感じて頼政は目を丸くするが… 「悪い。何でもないよ…じっちゃん」 苦笑して獅子王は手を振り頼政に謝った。 「済まない…義平…」 申し訳なさそうに石切丸は義平に謝る。 『お前が悪いわけじゃない…刀も人間の姿を得たなら感情的になるのも仕方無いさ』 苦笑して義平は首を横に振った。 そして愛奈達は… スパンッ 障子が開き、中から美しい花魁が姿を現した。 フォンッ 「うーん…北之庄城以来の外の空気だな…」 それと同時に、障子が消え去り花魁は皆を見回して笑みを浮かべる。 「っ…」 愛奈は目を覚まし… 「愛奈っ!?」 気付いた光忠は愛奈の様子を見て名を呼ぶ。 「…光忠お兄さん」 ぼんやりした様子で愛奈は光忠の名を呼び… 「良かった…」 ギュッ 安堵して光忠は愛奈を抱き締める。
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