第六十六話参ろうか?兄者殿?

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「何者だ?貴様は…」 三日月は花魁を見据え問い掛ける。 「…妾は無月左京…。 刀であり刀で有らず。…簡単に言えば…三条の最期の刀だが…この姿は借り物」 笑って無月は三日月に名乗った。 「ふざけているのかっ!?貴様…」 眉間に皺を寄せ、長谷部は鞘から打刀を引き抜く。 「短気だな…。うーん…そうだな…妾は…人間と刀剣が同化した存在。 つまり…刀剣の意識は断片でしか無くほとんどが人間の記憶だ。 …人間の頃の名は…海北綱親…浅井軍の軍師をしていた者だ」 笑って無月は名乗った。 「海北綱親…だと?」 名を聞いて信長は、金ヶ崎の事を思い出す。 逃げる織田軍を策略で追い詰めた老軍師の名だからだ。 「…刀剣と人間が同化するなんて聞いた事がねえぜ?」 びっくりして薬研は目を丸くする。 「何故そんな奴が…」 不動も金ヶ崎から蘭丸と共に逃げたので、怒りを露にしながら鞘から短刀を引き抜いた。 ……架空の世界から歪んだ世界なら…あらゆる原因があってもおかしくは無いと… …成程…刀剣と持ち主が同化する事もあるとは…誠に驚きですね。 無月を警戒しながら、宗三は鞘に手を掛ける。 「貴方は敵ですか?」 義経は真っ直ぐ無月を見据え問い掛ける。 「どちらに見えるかな?」 両手を上げ無月ははぐらかす。 …無月…いや海北殿… 光忠に抱き締められながら、愛奈は無月を見詰めており…
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