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「何者だ?貴様は…」
三日月は花魁を見据え問い掛ける。
「…妾は無月左京…。
刀であり刀で有らず。…簡単に言えば…三条の最期の刀だが…この姿は借り物」
笑って無月は三日月に名乗った。
「ふざけているのかっ!?貴様…」
眉間に皺を寄せ、長谷部は鞘から打刀を引き抜く。
「短気だな…。うーん…そうだな…妾は…人間と刀剣が同化した存在。
つまり…刀剣の意識は断片でしか無くほとんどが人間の記憶だ。
…人間の頃の名は…海北綱親…浅井軍の軍師をしていた者だ」
笑って無月は名乗った。
「海北綱親…だと?」
名を聞いて信長は、金ヶ崎の事を思い出す。
逃げる織田軍を策略で追い詰めた老軍師の名だからだ。
「…刀剣と人間が同化するなんて聞いた事がねえぜ?」
びっくりして薬研は目を丸くする。
「何故そんな奴が…」
不動も金ヶ崎から蘭丸と共に逃げたので、怒りを露にしながら鞘から短刀を引き抜いた。
……架空の世界から歪んだ世界なら…あらゆる原因があってもおかしくは無いと…
…成程…刀剣と持ち主が同化する事もあるとは…誠に驚きですね。
無月を警戒しながら、宗三は鞘に手を掛ける。
「貴方は敵ですか?」
義経は真っ直ぐ無月を見据え問い掛ける。
「どちらに見えるかな?」
両手を上げ無月ははぐらかす。
…無月…いや海北殿…
光忠に抱き締められながら、愛奈は無月を見詰めており…
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