第六十六話参ろうか?兄者殿?

9/9

60人が本棚に入れています
本棚に追加
/857ページ
「どこまでもふざけた奴だ…」 大倶利伽羅も目を細め鞘に手を掛ける。 「…無月殿…いや海北殿。 私が貴方の主君を討った羽柴秀吉の刀剣と御存知ですか?」 真っ直ぐ無月を見据え、一期一振は問い掛けた。 「無論存じている。刀剣となった後…妾は市の方と共に北之庄で果てた。 火薬に火を付けたので、妾は粉々に吹き飛び焼き直しされる事もなかった。 浅井長政様と、市の方…妾は二度も主君を失った。 …羽柴秀吉と言う成り上がりの輩にな…」 笑って無月は一期一振に答えた。 「ならば敵討ちなされるおつもりで?」 冷や汗を掻いて一期一振は問い掛ける。 「やろうと思えば…ダラダラと長く話などせんよ。 三条刀の兄弟にも睨まれるし…まるで妾は悪者だな」 苦笑して無月は首を横に振った。 「…ならば何上…姿を現したのだ?」 怪訝そうな顔をして三日月は尋ねる。 「愛奈の力に成るために…長政様も姿を現したのならば…軍師である妾も出なくてはなるまい?」 微笑して無月は答えた。 ……って言う事は味方なのかな? 困惑して光忠は見詰める。 「海北殿…」 光忠の腕の中で、愛奈は不安そうに無月を見詰めているのだった。
/857ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加