60人が本棚に入れています
本棚に追加
/857ページ
「どこまでもふざけた奴だ…」
大倶利伽羅も目を細め鞘に手を掛ける。
「…無月殿…いや海北殿。
私が貴方の主君を討った羽柴秀吉の刀剣と御存知ですか?」
真っ直ぐ無月を見据え、一期一振は問い掛けた。
「無論存じている。刀剣となった後…妾は市の方と共に北之庄で果てた。
火薬に火を付けたので、妾は粉々に吹き飛び焼き直しされる事もなかった。
浅井長政様と、市の方…妾は二度も主君を失った。
…羽柴秀吉と言う成り上がりの輩にな…」
笑って無月は一期一振に答えた。
「ならば敵討ちなされるおつもりで?」
冷や汗を掻いて一期一振は問い掛ける。
「やろうと思えば…ダラダラと長く話などせんよ。
三条刀の兄弟にも睨まれるし…まるで妾は悪者だな」
苦笑して無月は首を横に振った。
「…ならば何上…姿を現したのだ?」
怪訝そうな顔をして三日月は尋ねる。
「愛奈の力に成るために…長政様も姿を現したのならば…軍師である妾も出なくてはなるまい?」
微笑して無月は答えた。
……って言う事は味方なのかな?
困惑して光忠は見詰める。
「海北殿…」
光忠の腕の中で、愛奈は不安そうに無月を見詰めているのだった。
最初のコメントを投稿しよう!