本丸へようこそ

第六十七話焔の中の真の黒幕

『落ち着かんか、半兵衛…いくらお前が急いたとて…神子田は信長様のお気に入り…。

素行が悪く、性格に難があっても我等にはどうにも出来ぬ』

神子田の策略で足を悪くした黒田は、床に伏しながら半兵衛を諌める。

『でも…これ以上…神子田を信長の近くに居たら…長政見たいに謀反を起こさせられて…秀吉が死ぬ。

それは官兵衛殿だって分かるだろ！？あいつは…自分の知識を生かせるなら何だってする…』

怒りを露にしながら、竹中は強い口調で官兵衛に訴える。

『…それは分かっているが…しかし…どうすれば…』

竹中に言われ、黒田は困惑するが…

『信長も…神子田も居なくなれば…秀吉は欲を出さない…市も死ななくて済む…』

不意に竹中は恐ろしい事を口にする。

『…半兵衛…お前…今なんと…？』

びっくりして黒田は竹中に聞き返すと…

『…消すんだよ。俺と官兵衛殿の策略で…信長を…。

信長さえ消せば…万事上手く行く』

闇にまみれた笑みを浮かべ竹中は黒田に言った。

『…例え信長を消せたとしよう。

果たして秀吉が野心を抱かないと核心出来るのか？

半兵衛、冷静に考えよ。人は権力を持てば簡単に人が変わる。

人間と言う生き物は、欲に貪欲で忠実な存在だ。

お前だって一番分かっている筈だろう？』

黒田は竹中の右肩を掴むと、真っ直ぐ見据え竹中に言い放つ。