第六十八話新撰組と花魁と源氏と次郎さん

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「土方さん、様子見なくて良いの?」 騒いでいる刀剣達に気付いて、沖田は目を細めて土方に問い掛ける。 「…」 難しい顔をして土方は黙り込み腕を組む。 「…なんか皆愛奈達が居る洞窟見てるぜ?ヤバい事が起きたんじゃないのか?」 ソワソワするのか、平助も不安そうに言う。 「しかし…副長が動かれなくては…俺達も動けぬ」 難しい顔をして斎藤は土方に視線を向けた。 「…土方さん…土方さん…ねえってば!!」 「…」 じっとしていられない沖田は、土方に声を掛けるが…土方は黙ったままで… ブチイッ!! ついに沖田の堪忍袋の緒がブチ切れた。 「…動かないと…その首撥ね飛ばすよ!!」 スチャッ 禍々しいオーラーを放ち、沖田は具現化させた安定を顕現させると… 鞘から抜き放ち、北辰一刀流の構えで上段から構える。 「へっ?」 「むっ?」 平助と斎藤も気付いて青ざめる。 「…ちょっ…おいおいっ!総司!!落ち着けっ!」 気付いた兼定が間に入って止めに入った。 「そうだよっ!!総司君!!ここは落ち着こう!!ね?」 兼定と息ピッタリに、堀川も沖田と向かい合い説得を試みる。 「嫌だ…いくら和泉守さんとか堀川さんに言われても…僕は止まらない…。 動かなければ…斬る。心配なら行けば良いのに…駄々をこね続ける男を副長の席に付けたくない。 情けないし、隊士に示しが付かないよ」 その表情は…かつて恐れられた冷酷な剣士その者だ。 「総司君…」 「総司…」 堀川と兼定は顔を見合せ困惑する。 「…沖田君が斬るなら…」 「僕達も斬るよ。堀川さんと和泉守…斬れば僕達が副長の刀になる」 笑って加州と安定も、鞘から打刀を引き抜いた。 「えーっ!?ちょっ…マジで辞めろって!!」 「そうそう!!仲間割れ駄目!!」 慌て平助と兼重が止めに入るが… 「「「外野はスッ込んでろ!!」」」 沖田、加州、安定に息ピッタリに言われ… 「外野っ…って」 「っ!!」 びっくりして二人は黙り込む。 だが、副長命な斎藤と…和泉守と堀川命な国重は動かず黙っていた。
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