第六十八話新撰組と花魁と源氏と次郎さん

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「…ライバル…って…次郎さん…歌舞伎の女形ちゃいます? …まさか…そっち系やったんどすか?」 びっくりして明石は目を丸々にする。 「…歌舞伎ってのは…演じるに当たって…常に女になりきり、心情を仕草や表現に現す物なのさ。 現代じゃ…高い金出さなきゃ歌舞伎なんて中々見れないけど…昔は民衆の娯楽だったんだよ」 真面目モードで、次郎は解説しながら無月を見据える。 「…しかし、誰かは知らねぇが上玉だな?こりゃ…」 無月を見て日本号は感心する。 …なんだろ…妾は見せ物になってるのか?妙にジロジロ視線を感じる… 笑顔を張り付けたまま、無月は固まる。 『愛奈っ!大丈夫かっ!?』 盛親が駆け寄り愛奈に飛び付く。 「おっ!盛親お兄さん…」 びっくりして愛奈は目を丸くし… 『愛奈ちゃんっ!』 『愛奈さん…っ!』 後から親忠と信親も愛奈に駆け寄った。 「長曽我部三兄弟…」 びっくりして光忠は目を丸くする。 『あれ…何者だ?』 目を細め盛親は愛奈に問い掛ける。 「…よいしょ…」 『ぬおっ!?』 問い掛けに答えず、愛奈は盛親を掴むと首に巻いた。 びっくりして盛親は声を上げる。 ヒョイッヒョイッ…『え?』 『…?』 親忠と信親も、愛奈は右腕と左腕に巻いた。 「何やってんの?」 苦笑して光忠は愛奈に尋ねると… 「カワウソの毛皮を巻いてるセレブ妻の真似」 ドヤ顔をして愛奈は答えた。 「…はは…」 脱力感を感じて光忠は苦笑いするしか出来ない。 「じゃなくて…盛親お兄さん…親忠お兄さん…信親お兄さん…光忠お兄さん…オラに力を!」 真顔で愛奈は三匹と光忠を見回して頼む。 「…」 愛奈に言われ、光忠も目を丸くし… 『力を貸してやれるけど…』 『具体的に…』 『何をするんですか?』 盛親、親忠、信親は顔を見合せる。 「あそこにいる花魁さんは…元は浅井家家臣の重臣、軍師の海北綱親様なの」 真面目な顔をして愛奈は四人に言う。
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