第六十九話再会と風流人鬼と化す

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同じ頃… ストンッ 一人、別行動を取っていた細川は…木の飢えから飛び降り地面に着地した。 雨上がり独特の生臭い匂い。 細川が降りた場所は山賊の拠点の真ん前… 「んあ?なんだ…この狐…」 見回していた山賊の一人は、細川に気付いて近寄る。 ガシッ 「狐鍋にするか…」 細川の襟首を掴むと、山賊は廃墟の中へ入ってしまった。 その様子を木の上から見ていた三人が居る。 「ふむ。…細川は狐のふりが上手い。武道派かと思ったが…案外忍びも向いているじゃないか。 文句ない完璧に潜入成功だな」 満足して鴬丸はニッコリ笑う。 「顎丸の居場所や、山賊の正確な人数…知るために潜入とは…流石東軍の猛将。 ……自らを利用して中に入る…か」 大兼平は細川の行動に感心して頷く。 ……半兵衛なら絶対にやらせない策だよ…何度も止めたのに実行しちゃうなんて… 下に俯いて虎御前は涙目になる。 一方… ガタンッ 細川は山賊に無造作に放り込まれ…仰向けになって倒れる。 …痛い…くそ…無造作に扱いおって… 眉間に皺を寄せ、ムクッと起き上がるが… ……虎御前の話によれば…山賊の数は三千以上も居ると聞いてきたが… …はて?…それにしてはおかしい… 人間の気配がしない…もしや死人…? 死人を操り駒にしているのか? 立ち上がると、周りをクンクン匂いを嗅ぎ…腐敗臭に気付いて目を見開く。 …とにかく顎丸とか言う太刀を探さなくては… 慌て我に返ると、細川は積み重なった荷物から荷物へ飛び移りながら… ひたすら刀剣の気配を追い掛け探し回る。 やはり…拠点の中は異様だった。 死人が他の山賊の大半を占めており、鼻がひん曲がる様な臭いで…生前も戦場を駆けていた細川でさえも… 顔をしかめるしか無い強烈さだ。
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