第六十九話再会と風流人鬼と化す

6/11

60人が本棚に入れています
本棚に追加
/857ページ
『ふむ。成程…で?次は?』 興味を示し、細川は歌仙に近付いて更に聞く。 『…人語を話すことが出来るようになる。それが二段階目だね』 湯飲みを置くと、歌仙は手元に一瞬で打刀を出現させた。 『それが二段階目か…』 納得して細川は感心する。 『うん。三段階目になると人の姿を得る事かな?』 苦笑すると、歌仙は打刀を大切そうに見詰め… 『人の姿を得る…か』 歌仙を見詰め細川も目を細めた。 『最終段階が…僕みたいに本体である刀を出現させ人並みに闘える事だろうね。 まぁ…闘いの場合は、持ち主と同じ戦闘力って事かな…』 話を纏め、歌仙は苦笑する。 『…って事は俺と同じか?』 苦笑いして細川は面喰らった顔になった。 『仕方無いさ。こればかりは似てしまうんだよ。 …まぁ、元々架空の世界で作られた僕達が…嘘か誠か独立した意志を持ち…幸か不幸か主の君と再会出来た。 まさに必然が生んだ奇跡…素晴らしい雅な出来事だね』 感慨に耽り、歌仙は満足そうに微笑む。 『…』 歌仙に言われ、今一ピンと来ない細川は茶菓子の最中を口に入れ頬張る。 ドタドタ 『乱!!走っては行けませんよ!!』 ドタドタ 『エヘヘ!!せっかく可愛い着物着たんだから…見せびらかしたいんだもん!!』 賑やかに走る江と、乱の騒ぐ声が聞こえる。 『…おい、歌仙…あの二人もか?』 引き吊った笑みを浮かべ、細川は歌仙に問い掛けた。 『うーん…そうなるかな』 苦笑して歌仙も言葉を濁す。 『喧し過ぎると玉が怒る。ちょっと怒って来る…』 立ち上がると細川は歌仙に背を向けた。 『なぁ…忠興。刀剣なのに…人間と同じように人間を好きで想いを寄せていると…僕が言ったら君はどうするんだい?』 歌仙は湯飲みを見詰めながら細川に尋ねる。 『…玉は俺の妻だ。やらんぞ?』 不愉快そうに細川は歌仙に答えた。 『違う違う…君の奥方じゃないよ。僕が好きなのは君の友人だ。…名は明かせないけどね』 苦笑いして歌仙は細川に教える。
/857ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加