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『俺の友人とな?…清正?正則?秀康?…うーん…直政!』
一生懸命に細川は思い付く名を歌仙に当てるが…
『残念だが、的外れだね』
笑って歌仙は袖口で口許を隠した。
『…分からん…友人関係は広いからな』
疲れた顔をして、歌仙に振り返ると細川は座り込む。
『まあね。…君は好かれていたから…豊臣、徳川でも友好的な将が居ただろうね』
納得して歌仙は再び、空になった湯飲みに急須を傾け熱い茶を注いだ。
……二段階目なら…三段階目になれる筈…
細川は回想から戻ると、太刀を見詰めながら頷くと…
『お前の主は確かに…お前の目の前で二度死んだかも知れぬ。
…けど、そのあと…俺の血を引く子孫が霊界から連れ戻し…今も俺達と共に居る』
決心して細川は太刀に教えた。
『嘘だ…信じられない…』
ぐずついて太刀は信じようとしない。
『ならば…貴様は現実を捨て…刀の本懐も遂げられずに朽ち果てるか?』
真っ直ぐ見据え、細川は太刀に問い掛ける。
『…それも嫌だ。刀は戦場にあってこその道具。
惨たらしく朽ち果てるなんぞ…源氏の名折れ…』
太刀は細川に言われ、気分を害したのか憤慨しながら言い返した。
『ならば…騙されたと思ってついて来い。必ず主に会わせてやる』
真っ直ぐ見据え細川は太刀に言う。
『貴様なんぞに言われるとは…癪に障るが…分かった。ついて行ってやる』
不愉快そうだが、渋々太刀は了承した。
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