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『それは可愛い酒池肉林ですね…』
一瞬、あまりのショックで倒れた重門にびっくりし…
竜御前が心臓マッサージで蘇生させ、無事に重門が生き返った事を横目で見つつ島は渇いた笑みを浮かべ答えた。
「あのね!!…知ってる…?こんな辺鄙な場所…しかも主要街道から逸れた山道…
行き交う旅人や承認なんて少ないのよ。
だから…大所帯で山賊が食料を確保出来るなんて不可能なの」
真顔で愛奈は島に言う。
『そりゃ正論ですね。確かに生きている人間程金や食料は掛かると言う物…。
…大所帯の山賊としちゃあ…拠点が山の中ってのもおかしい。
主要街道の山の中なら絶好な拠点になりますし…
…で?愛奈ちゃんの考えはどうなんで?』
笑って島は愛奈に尋ねる。
「…皆から聞いたんだけど、古河に居た人達は皆斬ったら砂になったんだって。
九十九神に斬られて砂になるなら不浄の者…それ即ち死人でしょ?
…って事は…山賊の一味なら大半が死人だと考えてもおかしくないよね?」
得意気に愛奈は島に答えた。
『…こりゃ一本取られましたよ…愛奈ちゃんは見た目より格段に賢い。
そこまで断言するなら…私達は愛奈ちゃんに協力しましょう…』
冷や汗を掻いて島は愛奈を褒め認めた。
「…なら…豊臣軍の目の前まで私達が囮になりながら誘導する。
…豊臣軍は矢尻に清めた塩を付けて矢を放って。
石切丸と次郎さんを生かせるから…合流する前までに大量の塩を用意して頂戴」
真顔で愛奈は島に頼む。
『作戦は素晴らしいと思いますがね…今から塩をどう用意すれば良いと?』
冷や汗を掻いて島は尋ねる。
「天下の豊臣なら真田幸村が臣下に居る筈…真田十勇士二人ぐらい居ないの?
……こんな辺鄙な場所で、豊臣軍の情報を集めるなら忍が手っ取り早い…。
…違うかしら?妾はそう思うのだがな?…左近…」
不敵に笑みを浮かべ愛奈は島に逆に問い掛けた。
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