第七十三話突きだ!串刺しだ!行くぜ!

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「自分…働きたくあらへんけど…道敏が…あの高次さんなんやろ?」 愛奈に近寄ると、苦笑して尋ねる。 「うん…私のお兄ちゃんです」 涙目になって愛奈は頷いた。 「なら…道敏の妹が愛奈なら…自分の家族も同然…本気で行かせてもらいまひょ」 愛奈の頭を優しく撫で、明石は笑って答える。 「…助太刀…任せろ」 無表情だが、やる気満々に斎藤は頷く。 「…不足無し…剣技生かすまで」 同じく国重も、仏頂面で答えた。 「腕の見せ所だぜ!」 「暴れちまうよ!」 藤堂と兼重はノリノリで頷いた。 「ちょっと…待て。納得行かねえ…なんで俺だけ…日本号おじさま…なんだ?」 目を細め日本号は愛奈に詰め寄る。 「見た目からして老けてるから?」 純粋無垢な笑顔で愛奈はアッサリ答えた。 「ぶっ!」 明石は涙目になり、吹き出し笑いを堪える。 「…俺は槍で官位持ち…つまり偉いんだ。おじさま付ける歳でもない。 つまり若い…偉くて若い…そこ大事!」 日本号は強調して愛奈に訴える。 「将軍の妻、天才武将の妻、天才軍師と義の大名の妻…身内沢山…私の方が偉いよ?」 悪気なく愛奈は日本号に答えた。 「っ!?」 周りから視線を感じ、日本号は辺りを見回す。 …可愛い娘に何か? …折られたいのか?紅白に染めてやるぜ… …斬る… …怒りが沸々と込み上げて来ますな… ……主に対する失言許すまじ…!! …無礼者ですね…手打ちに致しましょうか? …解せん!主の無礼…許せない! …大丈夫だ。槍は防御が弱い…俺なら一撃で仕留められる。 …是非にも無し!無価値! …暗殺しましょうか?毒でも持って… …わあーい!楽しい槍折りですね!
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