第七十三話突きだ!串刺しだ!行くぜ!

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「っ…魔王さんに怒られちゃ流石に形無しになるんだけど…」 愛奈を抱き締めたまま、竹中は目を細める。 「貴方が織田信長…」 沖田は信長の姿を見ると、上から下まで見て… 「…女見たいにモヤシ…あれ?でも体系や肌の白さは…僕や軍師さんと同じだね」 自分や竹中、信長と見比べて沖田はびっくりする。 ……肌の白さや体系が…同じ…? …確か俺や沖田は…時代は違えど病を患ってから痩せ細り肌の色も病弱な色に変わった… ……あれ?…俺…何か大事な事思い出しそう…いや、繋がる何かがあった筈… 竹中は気付くと目を見開いて思い出そうとする。 『また上様は御自室か?』 ある時、官兵衛さんと俺が信長に様があって安土を訪ねた時だ。 『…御足労有り難いのですが…信長様は昨晩酒盛で酒を沢山飲まれて今は未だ休まれております。 恐れながら…信長様に代わり、この蘭が貴殿らの御用件を聞きたく存じます』 二日酔いって言ってる癖に、蘭丸の顔は強張っていた。 『ふーん?あーれ?この間も同じ事言ってたよね? 確か…秀吉様の話では…上様は酒に弱いからあまり呑まれないって聞いていたんだけど?』 わざと核心をついて俺は蘭丸に尋ねた。 『っ!?……要らぬ詮索は身を滅ぼしますぞ…竹中殿』 勘に触ったのか、蘭丸は目を見開くとたちまち怒りの表情に変わり懐の不動に手を掛ける。 『いくらお気に入りの小姓だからって…口の聞き方には気を付けた方が良いよ? 俺は官兵衛さんと違って気は短い方なんでね』 俺も笑って虎御前に手を掛けた。 『止さぬか…半兵衛…蘭丸も…落ち着け…仲間内でいさかいを起こして如何する?』 官兵衛さんは冷静に俺と蘭丸を止めたんだ… 『っ…』 『ふん…』 蘭丸と俺は、渋々刀を納めその場は丸く収まった。 …そう…信長に会える機会もそれが最期だったんだ。 「まさか…」 竹中は思い出すと、驚ろいた眼差しで信長に視線を向ける。 「…」 信長は竹中に視線を向け…小さく頷いた。
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