第七十三話突きだ!串刺しだ!行くぜ!

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宗三は無言で竹中を責めるような視線を向け… 長谷部は拳を固く握り締め、竹中と目を合わせようとはしない。 不動は噛み付きそうな勢いで殺気を放ち 落ち着いた様子で薬研は竹中に視線を向けていた。 ……全て……理解した…… 竹中は訳が分かると、愛奈をゆっくり放し顔を見る。 「ひっく……お願いだから…じっとして…動いちゃ駄目なの! …光忠お兄さんも…大倶利伽羅お兄さんも…鶴丸お兄さんも…一期一振お兄さんも!! 身体が人で無くなっても…半兵衛達は苦しいでしょ? 苦しいなら動いちゃ駄目だよ! 大切な人を失いたくないの!」 泣き叫ぶように愛奈は叫んだ。 ……愛奈……いや、市はあの頃もずっと…俺達を……? だから……金ヶ崎でも俺や信長を生かしたか? 全てが分かり、竹中は愛奈を見詰めると泪が溢れ出す。 「馬鹿愛奈…もう離れないよ…お前から離れない…」 涙声で竹中は愛奈を抱き締めて優しく囁く。 ……愛奈… 浅井は二人を見詰め胸が痛くなるのを感じた。 『長政様…?何をなさいますっ!?おやめ下さいませ!』 バシッドカッ 『貴様は!!我が妻でありながら…織田と内通しておったな! この浅井家の面汚しが!!』 ドゴッゲシッ 『あぁっ!痛いっ!痛いですっ!長政様っ!辞めて下さいっ!』 ドクンッ 「っ!?」 浅井の脳裏に、自分が泣き叫ぶ市を痛め付ける映像が浮かび上がり驚愕して目を見開く。 「長政様…?」 無月は浅井の様子に気付いて目を見開き尋ねる。 「いや…何でもない…」 心臓が早鐘を打つ中で浅井は無月に答えるが…冷や汗が止まらない。 手にも感触が残って居たからだ。 ……何なんだ?今の光景は… 浅井に疑問が残り不安が発生する。 「「…」」 一文字と信義は、悲痛な表情で浅井を見詰めていた。
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