第七十四話虎吠える歌舞伎者の大一番

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第七十四話虎吠える歌舞伎者の大一番

「何だ!?お前らは…」 見張りをしていた所、突然現れた清正達に驚き山賊達は槍や刀を手に取り囲む。 「…豊臣の虎と言って置こうか?」 笑って清正は具現化させた田貫を鞘から引き抜く。 「斬られたい奴から来な?仲良く兜割ってやるからよっ!」 楽しそうに田貫も、打刀を出現させ鞘から引き抜いた。 「はっはっは!通りすがりの歌舞伎者っと答えて置こうか!!」 豪快に笑って慶次は槍の紅蓮を具現化させ、グルリと振り回す。 「良いね!良いね!久しぶりの花道!きっちりと桜…舞わせて行くかい?」 一瞬で槍を出現させ、肩に担いで紅蓮は笑みを浮かべる。 「…豊臣の虎…?歌舞伎者…?意味分からねぇ事言ってんじゃねぇ!」 「やっちまえ!」 「死ねや!」 山賊達が次々と四人に斬り掛かる。 「成程…敗軍の俺達は勇名じゃねぇのか?」 ザシュッ 向かって来た山賊の首を跳ね、返り血を浴びながら清正は残念がる。 「いんや?…城造りの名人で有名だぜ?…俺も明治天皇に兜割り披露出来た程…この時代も現役だったからさ!」 ガスッ 笑いながら田貫は答えると、兜を着けた山賊の頭を兜ごと叩き割り倒す。 「俺は有名じゃねえかもな…庵で隠居暮らししていたし…さ!」 ドスッ 山賊の大男の腹を突き刺し、引き抜き様に慶次は返り血を浴びぬ様に避ける。 「あっさり慶次は武士辞めて茶人になったしな…」 ズブッ 後ろから来た山賊を、紅蓮は振り向かないまま頭を突き刺し倒す。 「まぁ、有名でも勇名でも良い…」 「敵は片っ端から倒す…」 「久々の大暴れ… 」 「楽しまないと損だからな!」 余裕そうに笑って清正、田貫、慶次、紅蓮は山賊に突っ込んで行く。 同じ頃… 「…何の騒ぎですか?」 拠点の外から喧騒が聞こえ、行為を終え痛い腰を擦りながら神子田は近くにいた手下に尋ねる。 「そっそれが…得体の知れぬ連中が…裏口から逃げようとした奴等と、正面から攻めて来た奴等が居まして… 向かえ打とうとしたのですが、中々強く人間の仲間達は次々と返り討ちにあってるんです!」 慌て男は神子田に答えた。
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