第七十四話虎吠える歌舞伎者の大一番

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「こんな使い方も出来るよ…」 笑って芦葉が手を嗅がすと、ポコポコっと大きな雪ダルマが出現し… 雪ダルマ達は武器を荷車に積んでいく。 「究極は便利やな」 感心して行長は頷く。 「そりゃね…力を使いこなせば朝飯前だよ」 笑って芦葉は得意気に鼻を鳴らす。 雪ダルマのお陰もあり、武器は全て積み終わった。 スッ 行長が手を翳すと空間が歪み穴が開いた。 穴が開いた先は、金色の茶室が見える。 「雪ダルマ達!御願い!」 笑って芦葉は雪ダルマ達に頼む。 雪ダルマ達は荷車を片っ端から茶室へ運んで行く。 「こりゃ楽や!」 座り込んで行長はニッコリ笑みを浮かべる。 雪ダルマ達の働きは素晴らしく、あっという間に荷車は茶室に満杯になった。 「どうする?手伝うの?」 芦葉は頭の上で腕を組み、行長に問い掛ける。 「そうやな…竹中様も三成も皆頑張って居ると思うし…わいらが手を出したらPRIDEを傷付けてしまうかもしれへん…難しいんや」 困った顔をして行長は溜め息を着く。 「確かに…じゃあ引き上げるとしますか?」 「そうやな…」 苦笑して芦葉が言うと、行長も頷いた。 空間の穴から茶室に入ると、再び空間が閉じ跡形も無く消え去る。 パリンッ… 行長と芦葉が居なくなった事により、氷が砕け散ったが… バンッ 慌て神子田が武器庫に入ると、武器が無くなり藻抜けの空になっていた。 …己…してやられた…氷も刀剣の力か… …くそっ…豊臣が動いているなら…死人を動員しなくては… 膝を着くと、神子田は悔しそうに拳を握り締めた。 同じ頃… 「加勢する…全て斬りまくる…ただそれだけだ!」 顎丸と細川の元へ駆け寄ると、大兼平は一瞬で太刀を出現させ鞘から引き抜いた。 「大兼平は純粋で扱う事に問題ない。まぁ…長持ちする漬け物石と思えば良い」 涼しい顔をして鴬丸も瞬時に太刀を出現させ鞘から引き抜く。 「待て…何故俺が漬け物石に例えられるんだ…?納得いかん…」 目を細め大兼平は鴬丸に言い返す。
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