第七十四話虎吠える歌舞伎者の大一番

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「何…そんなに難しく考える必要などない。 つまりは…漬け物石見たいに長く使えて丈夫だと言う訳だ」 笑って鴬丸は大兼平に答えた。 「…ふん。なら俺は天下五剣よりも頑丈と言う事になるなっ!」 嬉しそうに大兼平はヤル気満々になる。 「…ふっ…大兼平は単純で扱いやすい…今も昔も馬鹿真面目と言う奴で助かった…」 笑って鴬丸は、そんな大兼平を見てポツリと呟く。 ……友達を利用するとは…… ……酷すぎる… 細川と顎丸はガビーンと固まる。 「…私って頭使うタイプなのに…体力勝負の人達と一緒に闘う羽目になるとは…着いてないよ…トホホ…」 溜め息を着くと、虎御前は鞘から太刀を引き抜いて構える。 「ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇ!」 「死ねやっ!!」 「シャアっ!」 山賊達は次々と、細川達に斬り掛かる。 「…品が無い奴等だ…」 「…斬るのみ!」 「…さあっ!来い!」 「斬りたくないが…向かって来るなら情けなんて必要ないか?」 「…私の斬れ味…錆び付いて無いと良いけどね!」 細川、顎丸、大兼平、鴬丸、虎御前は笑って向かい討つべく走り出す。 一方川辺では… 「くっ!次から次へと…人間と死人が混ざっていて不快極まりないぞ!」 ザンッ 真っ正面から来た山賊を斬り捨て、膝丸は苛立つ。 「…敵は…術者か?死人と人間…両方扱うとは珍妙な技を使い居るな!」 ザシュンッ 薙刀で岩徹は五人一気に斬り捨て笑みを浮かべた。 「…確かに…人間と死人…古河とは似てる様で些か違う。 …頼宏、お前は存じぬと思うが…古河で一戦交えたのだ。 神と松永と申す者にな…。 古河では家臣や配下は全員死人だったのだ」 ザンッザシュッ 前から来た山賊二人を、二刀流で斬り捨てながら頼光は高次に教える。
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