第七十四話虎吠える歌舞伎者の大一番

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『ヌ!?』 「?」 弁慶は岩徹の頭巾の上に落ちた拍子に口付けしてしまいびっくりする。 ポンッ 人間に戻った頼朝は膝丸の前に尻餅を着いて座り込む。 「なっ…なっ…なっ…」 衝撃体験をして膝丸も白眼を剥いて青ざめ言葉にならない。 ポンッ 「人間に戻った…」 岩徹の後ろで弁慶も人間に戻り安堵する。 「ほう?口付けなら刀剣や主も同じか!様々な所でも構わぬのだな…。 …しかし、直接口付けするのは驚いたぞ!!」 笑って岩徹は膝丸と頼朝に言う。 「したくてしたんじゃないわ!馬鹿者!」 顔を怒りで真っ赤にさせ頼朝は叫ぶ。 「兄者には言うな!絶対に言うな!」 何故か冷や汗を流しながら膝丸は岩徹に言う。 「分かった!俺も言う気等ないから黙って置こう」 気さくに笑って岩徹は膝丸に答えた。 …知られれば膝丸の命とて危うくなるだろうな… 内心、冷や汗を掻きつつ岩徹は納得する。 「待て…何故髭切に言わないのだ?…まぁ、敢えて口止めして貰うのは有り難いが…事故だ…ただの事故…」 冷や汗を掻いて、頼朝は膝丸に問い掛けた。 「何でもだ!俺は是が非でも兄者に黙っていて貰いたいのだ!」 必死な表情で膝丸は頼朝に答えた。 「…ふむ…変な奴…」 変な顔をして頼朝は腕を組むと首を傾ける。 ……貴様もな!兄者に想われているのに気付かない馬鹿主め! 苛々しながら、膝丸は頼朝に内心ツッコミを入れた。 「何とか成功ですね!」 「…だな」 綾光と三郎は安堵する。 「何をゴチャゴチャやっているんだ?」 頼光は呆れて目を細め… 「…仲が良いんですね」 笑って高次は頷く。 「仲…か」 羨ましそうに歌仙は頼光を睨みながら、高次に視線を映した。 ゴッ 「「「!!」」」 山賊達の中から凄まじい殺気を感じて三人は目を見開く。 【グオアアアアッ!!】 雄叫びと共に三つの頭が着いた巨体の山賊が現れ襲い掛かる。
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