第七十五話俺の話?聞いてもつまらないと思うけどな…

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「…僕達新撰組も…風潮には覚えがある。組織が大きくなれば成程…人は変わり過ちを犯す…」 沖田は芹沢を思い出して寂しそうに笑う。 「やあね…日本人って関係無い…灰色の人種って言われてるけど…中身は腹黒。 笑顔の裏に何を考えてるかなんて…実際分からないもの」 溜め息を着いて加州は目を瞑る。 「だから…今も昔も本質は変わらないって訳でしょ?」 悲しそうに安定も肩を落とす。 「日本人の特徴はね…決め付けたり、敵意を勝手に持って派閥を作り…敵と判断した者を追い詰める。 年齢や職業関係無く今も昔から…何処かで苦にして死んでる人間が居るんだよ。 明実や…市と同じでね。昔の俺も今見たいに悟る事は出来ず無知だった。 大切な家族や人を失うまでね…」 悲しそうに竹中も呟く。 「だから失うまでは分からない。家族や友達、関係者の皆も…。 悲しい事だね…その風潮で命が消えてるなんてさ」 泣きそうな表情で光忠は言う。 「…故に我は…風潮を亡くす為に動いた。 古き考えを捨て、新しきを得なければ連鎖から解放されぬ…。 それが分かっていたからだ」 信長は淡々とした口調で語る。 「犠牲を払い、恨みを買うのも承知で?」 乾いた笑みを浮かべ、竹中は尋ねる。 「で…なければ…、改革は出来ぬ…」 目を細め、信長は竹中に答えた。 「「…」」 偶然気配を消し、聞いていた亀甲と青年も信長の揺らぐ決意を知り驚愕する。 豊久も反対側の木の上で微動だに動かないとすれば、やはり動揺しているのだろう。 …僕は…知らなかった…何も… 今さらながらに、亀甲は過ちに気付いて涙が溢れ身体も震え出す。 …父上… 亀甲の様子に青年も気付いて悲し気な表情になる。
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