第七十六話もしもの時を考えねえとな…

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「……さっきの話…俺は変わらず賛成だ。愛奈は悲しむかも知れねえが備えに越した事は無い」 壁に背を預け鶴丸は竹中に言う。 「…一歩間違えれば死ぬ…それでも変わらないんだね?」 苦笑して竹中は座り込む。 …何の話だ…? …一歩間違えれば死ぬ? …それは一体… 分からない三人は困惑するばかり。 「あんたが言う山賊の黒幕だとする神子田は…頭が良い軍師なんだろう? 戦の常套手段ってのは…まず敵の弱点を突く事だ。 信長は…一向を鎮圧させるには…敵の大将を狙った。 当然、大将を討たれれば士気が下がる所か連携も乱れ烏合の衆になり…決着は直ぐに着いた」 鶴丸は目を閉じ、記憶を思い出しながら話す。 「つまり…神子田は動かず留守にしている僕達を狙うって事? まぁ…君に言われなくても考え着く事だけどさ」 苦笑して竹中は肩を竦める。 「あんたが言う…可能性を俺達が持つなら試すのが一番だ。 三日月は此処に居ないが、俺や光忠、一期、大倶利伽羅は闇墜ちし自我を保ててる。 狙われ命を落とすくらいなら…愛奈を驚かせて究極になってやりたくてな」 笑って鶴丸は竹中に答えた。 ……鶴さん…… 光忠は涙ぐみ… ……。 大倶利伽羅も少し潤ませ… …鶴丸殿… 一期一振は覚悟を決めた。 三人は顔を見合わせ頷くと…二人に近寄る。 「提案したのは僕だけどさ。 ……君の覚悟は高く買うけど…失敗すれば愛奈に嫌われるデメリットがあるし…お勧めしないんだけどね…」 頬杖を着いて竹中は溜め息を着く。 「鶴丸さんだけじゃないよ…」 「俺達も覚悟を決めた」 「鶴丸殿…水臭いですぞ?」 三人の声が突然聞こえ… 「っ!?お前らっ!?何故此処にっ!?」 びっくりして鶴丸は固まる。 「盗み聞き?…んもー、趣味悪いんですけど…?」 不愉快そうに竹中は睨む。 「ごっごめんね。どうしても気になっちゃってさ」 慌て光忠は二人に謝る。 「悪いが、先程の話全て聞かせて貰った」 大倶利伽羅は仏頂面であっさり答えた。 「私達が究極に成り得るなら…竹中殿に是非ともお願いしたい」 真っ直ぐ見据え一期一振は頼む。
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