第七十六話もしもの時を考えねえとな…

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「お前ら…」 嬉しくて鶴丸は涙ぐむ。 「その方法が…一度俺に折られ復活する方法でも言い切れる? …究極になるのは、瀕死あるいは死に至る瞬間に九十九神の力を発動させ限界を超えると言う事。 …失敗すれば折れたまま君たちの命は失い、愛奈の前から消え失せる…」 冷たい表情で竹中は三人に真実を話す。 「っ…愛奈の前から消え失せる…」 衝撃を受け光忠は口を両手で隠しカタカタと身体が震える。 「っ…」 大倶利伽羅も目を見開いて固まる。 「…」 一期一振は動揺せず、竹中を見据えていた。 「…」 鶴丸は悲痛な表情で下に俯く。 「…それでも…僕達は可能性に懸けるよ」 勇気を出して光忠は竹中に言う。 「…愛奈は闘っている。俺達がやらずして何をやる?」 大倶利伽羅も笑みを浮かべ腰に手を当てた。 「焼けた火から…私は再び命を得た。二度命を失うかも知れませんが…愛奈を守る為ならば…躊躇いなど無い」 微笑んで一期一振も頷く。 「…だ、そうだ…軍師殿?」 笑って鶴丸は竹中に視線を向ける。 「ったく…失敗しても知らないからね!」 シュンッ 溜め息を着くと、竹中は虎御前を具現化させ鞘から引き抜いた。 ズバッ 四人に向かって竹中は斬り付ける。 その瞬間、鶴丸は白い光に包まれ… 光忠は金色の稲光に包まれ… 大倶利伽羅は赤い龍に包まれ… 一期一振は紅蓮の炎に包まれる。 「あり?折れない…ってかさ…変化している…?」 びっくりした竹中は四人を見詰めると、様子を見ながら座り込んだ。 「…?」 四人の気配が薄れた事に気づき、愛奈は振り返る。 「愛奈…?」 愛奈を抱っこする義輝はキョトンとした。 「…ううん…何でもない…先を急ぎましょうぞ」 再び四人の気配が強くなり、愛奈は安心すると義輝に頼む。 「…あぁ、そうだな」 苦笑して義輝は愛奈に頷くと、歩く速さを速めた。
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