第七十七話忍乱舞と粟田口の再会

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「っ!!」 山崎は木の上で立ち止まると、素早くクナイを両手に構え… 気配を頼りに、真っ正面から斬り掛かる。 「うわっ!?」 気配の主は、山崎と変わらない年齢の青年で身軽に身体をバク転させ回避した。 「…何もんや…」 睨み付けながら山崎は問い掛ける。 「俺?俺は猿飛佐助!!真田十勇士の長!!」 茶髪で短髪、黒い襟巻きを巻き、黄色の忍装束を着た青年は佐助と答えた。 「…は?」 訳が分からず山崎は目を丸くする。 「どうした?丞っ…って…佐助っ!?」 厚も山崎に駆け寄ると、佐助を見てびっくりする。 「厚!!ひっさしぶり!!」 厚を見て佐助は目を輝かせる。 「…知り合いか?ってか…佐助って本名なん?」 訳が分からない丞は厚に聞く。 「…忍に偽名なんか名乗らねぇよ」 佐助はブーブー文句を言うと胡座を掻いた。 「そっか…丞の時代では佐助達は小説の中の人物になってるからな…。 …疑うのも悪くねぇよ」 納得して厚は頭を掻く。 「小説の中の人物?酷くない?まぁ…確かに真田十勇士は幸村様の影であり…実体は知られて居なかったけどさ…。 …小説は何故詳しく書かれてるか分かるか? 想像や空想が大半を占めてるが…あの作者…実は俺達の生き残りの子孫が書いたりして?」 笑って佐助はチラリと話すと、山崎に実体を教えた。 「マジなん?けど…真田十勇士の長が…あんただと思えんわ…。 十勇士の長と言えば凄い忍者やろ? あんた…どう見ても強くなさそうやん…」 溜め息を着いて山崎は佐助から目線を反らす。 「酷い!!でも俺絶対長だもん!」 白眼を剥いてショックを受けながらも、佐助は言い切った。 「胡散臭…」 疑い深そうに山崎は目を細める。 「で?何しに来たんだよ?」 話題を戻そうと、厚は真田に聞く。 「今な?俺達豊臣軍と一緒に山賊を討伐する作戦に入ってんだけどさ。 …愛奈様の命令で作戦が変わってさ…愛奈様達が囮になって敵を撹乱、誘導する中に… 豊臣軍が清めの塩で撃退する事になったんだよ。 山賊は人間より死人が多いらしくてよ」 厚に聞かれ、佐助は苦笑して答えた。
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