第七十八話鬼三匹命欲しくない奴は掛かって来いや!!

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「くそっ!万全なら…こんな雑魚に遅れなど取らないと言うのにっ!」 元々傷を負っていたので、疲労が溜まり次第に追い詰められ大兼平は苛つく。 「…騒いでも仕方無い事だ。確かに万全なら問題なかったが…みすみす仲間を見殺しになんて出来るわけが無い…違うか?」 ザシュッ 強気に笑みを浮かべ、鴬丸は太刀を振るい山賊を斬り捨てる。 「当然だろ!?仲間を見殺しにする奴なんざ武士の風上にも置けん!!」 鴬丸に聞かれ、大兼平は力強く答えた。 「…お前らしい。大兼平は馬鹿正直で大助かりだ」 笑って鴬丸は大兼平と背中合わせになる。 「…馬鹿正直とは何だ!?馬鹿正直とは!?」 顔を真っ赤にして、大兼平は鴬丸に怒る。 「言葉通りだ」 笑って鴬丸は呑気そうに答えた。 「くっ!集中的に狙うなんて…」 背中と右肩を斬られ、虎御前は膝を付く。 「大丈夫かっ!?後ろに下がっていろ!! それ以上傷を負えば折れかねん!」 慌て顎丸は虎御前を背に庇い、山賊と対峙する。 「……あんたも刀剣に成り立てでしょ?大丈夫なの?無理して…」 右肩を左手で押さえながら、虎御前は顎丸に問い掛ける。 「無理は百も承知…しかし、此処で助けに来てくれた仲間を無下にするならば…源氏の名を語る資格も無し! 故に…私は刀を振るう!源氏の重宝として名に恥じぬ様にな!」 力強く、顎丸は前を見据え虎御前に答えた。 …何?この人…カッコいい… ドキっとして虎御前は顔を真っ赤にする。 「くっ!鬱陶しい蝿が!後から後から…死人まで備えて居るとは…用意が良いんだか悪いんだか…」 苛々しながら、細川も打刀を構え山賊から距離を取る。 …可愛い玉が居れば…神の祈りとか、聖なる水で一発大逆転なんだよな… …すっかり改宗してさ…改名して『ガラシャ』名乗ってるし… 苦笑して細川は内心、愛妻を想像してデレデレ笑顔になる。
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