第七十九話我が命じる!者共殲滅せよ!

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「助太刀参上つかまつる!!」 今剣に抱っこされたまま、愛奈は着地すると凛々しい表情で武士語を喋る。 「何処の武士だ…何処の…そんな言葉遣いは文のやり取りの時か上司の前でしかやらないぜ」 呆れた顔をして田貫はツッコミを入れた。 「私は偉い!偉いの!」 真顔で愛奈は狸に言う。 「偉くても言葉遣いは合わない。知らねぇ言葉なら喋るな」 呆れて田貫は肩を竦める。 「みゅ…」 ショックを受け、愛奈は涙目になる。 「…ちょっと!田貫!愛奈様を泣かせないで下さいよ!」 慌て今剣は狸に文句を言う。 「うるせぇ。泣くのが悪い」 田貫は全然反省してない。 「これは斬るしかありませんね」 鞘から今剣を引き抜き、義経は笑顔で言う。 「…兜割りか…案外堅くて斬るのも苦労するか?」 笑って義輝も鞘から三日月を引き抜いた。 「やるか。田貫汁だな…味噌か醤油…どちらが良いか…」 食べる気満々で三日月も鞘から太刀を引き抜いた。 ヒュンッ 「へ?」 風を切り、物凄い速さで何かが飛んできて… 田貫の頬を掠り、少し血が流れる。 地面に突き刺さったそれは…光忠の鞘だった。 同じ頃… 「…光に包まれて身動き出来ない癖に…鞘を投げるなんて凄いね」 光忠を見詰めながら、竹中は目をパチクリする。 『何か…愛奈の胸騒ぎがしてね。鞘投げたから抜き身で持って行かないと行けなくなったけど…手応えはあった筈だから』 苦笑して光忠は竹中に答える。 『『『…』』』 同じく、鞘を掴んで投げる準備していた鶴丸、一期一振、大倶利伽羅は再び鞘を刀にはめて戻すのだった。 再び戻り… 「なっ!?何なんだっ!?」 青ざめて田貫は尻餅を着く。 「これは燭台切の鞘だな。ほう、愛奈の窮地を感じて鞘を正確に投げた様だ。 次は太刀が飛んでくるから気を付けた方が良いぞ?はっはっは」 呑気そうに笑って三日月は、光忠の鞘を地面から引き抜くと自分の腰に差した。 「っ!?」 三日月に忠告され、田貫は真っ白になり白眼を剥く。
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