第八十話うぃーくっ…酒だ酒…酒持って来い

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第八十話うぃーくっ…酒だ酒…酒持って来い

「ありゃりゃ?これはヤバイね」 死人の群に囲まれ、髭切は笑う。 「ヤバい通り超してるだろう…平安京に劣らぬ死人の群れだぞ…兄者」 呆れた顔をして膝丸はツッコミを入れる。 「うーん…雅じゃないね。…そう言えば…江の姿が見えないね…何処に行ったのかな?」 打刀を構えながら、歌仙は苦笑して首を傾ける。 「…例のアイドル目指している子居たんだ…。 …でも…居なくなるなんて変だね…」 不思議そうに青江は苦笑した。 「色々あり過ぎて忘れていたけど、…彼はあれで血気盛んでね。 …細川の刀はどうにも…血の気が多い刀剣が多いみたいだよ」 苦笑して歌仙は青江に教える。 「見た目じゃ刀も人も分からないものね」 納得して青江は笑みを浮かべた。 「無駄話している暇なんて無いぞ」 「数圧しで来るのも…一つの手か!」 弁慶が二人に言うと、岩徹が薙刀を振り回す。 「…頼浩!決して私から離れるな!」 「はいっ!」 頼光は守るように背に庇い、高次は返事をする。 同じ頃… ポイッ 血の匂いが漂う中、上半身裸のまま、返り血を浴びた江は割れた眼鏡を遠くへ放り投げた。 「細川様には…禁じられているんですが…素を出すの…仕方無いですよね…」 笑いながら言う江の背後には、人間の死体や死人だと思う砂の山が… 「此処から先は…手負いの方々が留守番しているので…申し訳ありませんが…」 鞘から脇差しを引き抜くと… 「…御通しする訳には行かないんで御理解下さい。 …着物を着付けするより斬るのが好きでね…」 タンッ 高く跳躍すると… 【オアアアッ!!】 咆哮を上げる死人に斬り掛かるのだった。
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