第八十二話恐ろ細川と圧し斬る囮部隊

2/5
前へ
/857ページ
次へ
伝令から聞いた通り、島が本陣の入り口辺りに行くと… 大きな身体の男が二人、足軽達に出迎えられ座っていた。 足軽達の間を潜り、島が前へと出る。 「ようこそ、我が本陣へお越し下さいました。貴方達が…愛奈姫様が申して居られた大太刀神様で間違いないですね?」 後ろから島は二人に声を掛ける。 「その口調…あんたが愛奈と話していた豊臣軍の軍師…島左近かい?」 気付いて次郎は振り返り島に聞く。 「話が分かる御仁で何より…そうです。私が島左近ですよ。…まぁ、正確には石田家の軍師が正しいんですがね」 苦笑して島は次郎に言う。 「成程…石田家の軍師…か。まぁ、私も長いこと神様やってるし…名前だけなら聞いた事あるよ。 …勿論、参拝者の方々からね」 クスッと笑って石切丸は頷いた。 「…大太刀が神様なのは知っていましたが、一体どちらの神社の神様で?ついでに名前も教えていただけたら幸いなんですが…」 気になって島は二人に問い掛ける。 「あたしは次郎太刀。熱田神宮の御神刀だよ」 笑って次郎は胸を張って名を名乗った。 「私は石切丸。石切劔箭神社の御神刀だ。降り掛かる厄落としや、腫れ物や穢れを落とすのが得意だよ」 穏やかに微笑んで石切丸も名乗る。 「次郎様に石切丸様ですね」 二人から聞いて島は頷く。 「で?今はどんな状況なんだい?」 次郎は頭を掻いて島に尋ねる。 「私の刀剣が、弓兵と作戦会議をしている所です。ですが…まだ申し訳ないんですが…塩は届いていません」 苦笑して島は次郎に答えた。 「塩が届かないと清められないね」 やれやれと石切丸は肩を竦める。 「もうすぐ届くと思いますよ」 にっこり笑って島は答えた。
/857ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加