第八十二話恐ろ細川と圧し斬る囮部隊

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柿岡と言う集落の村は、農村として規模は小さいが…朝は早くに起きて夜は遅くまで働く。 そうして、何とか自分達で食べられる作物を育てるのだ。 この家も例外ではなく、小さな兄弟は畑仕事で忙しい両親より先に眠っていた。 茅葺き屋根は簡素な作りである為隙間風が吹き抜け、土壁で作られた家も雨になると雨漏りが酷い。 兄と弟は、みすぼらしい毛布一枚にくるまって眠って居た。 ズシンッズシンッ 不意に地響きが聞こえて来た。 「兄ちゃん…何だろ?」 目を醒ました弟は兄に聞く。 「分からない地震にしては…ちと変だ」 訝しげに兄は立ち上がった。 「外に出てみよう」 「うんっ!」 幼い兄弟は、恐る恐る外へ出てみた。 すると…村の少し奥にある山から… ズシンッズシンッズシンッ 地響きを立てながら…何かが姿を現すではないか… 「「ひいっ!!」」 びっくりした兄弟は、抱き合いながら尻餅を着く。 姿を現したのは、赤い鬼と青い鬼だった。 両手には…何故か沢山の塩袋を持って居る。 怯える二人を尻目に…二匹の鬼は山の奥へ消えて行った。 同じ頃… 「まぁ…死人って聞いて予想着いて居ましたが…本当に醜いですね」 大小様々の死人を前に、漂う異臭に不愉快さを感じながら宗三は眉を潜める。 「主命とあらば…俺達は黙って従うだけだ」 それに対し、長谷部は気にする事無く言ってのける。 「私は嫌いです。貴方の…そんな主第一主義な態度…愛奈の場合は従うのでは無く…暖かな愛情が必要なんですよ。 …その程度も分からないとは…長谷部、貴方の頭の中は筋肉しか詰まって無いのですか?」 嘲笑う様に宗三は長谷部を馬鹿にする。 「貴様…黙っていれば抜け抜けと…!そう言うお前こそ…篭の中の鳥と言って置きながら…闘うの好きじゃないか…」 負けじと、長谷部は宗三に言い返す。
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